市民のための美術入門3、抽象絵画のすすめ

描いてみたい人のための抽象絵画の考え方や描き方や入り方などについて、できるだけわかりやすい言葉で書いていきたい。姉妹編「1、油絵のすすめ」「2、デッサンのすすめ」とで「絵画とは何か」にも行き着きたい。

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三つの入り口10

 しかし彼の作品を見ていると、まるで混沌とした画面の底に、何か作者の造形意識を感じさせる大きな空間に引きずりこまれるような感覚が生まれてきます。絵の具の飛沫が複雑に絡み合って厚みのある空間が生まれているのです。どこに中心や重心があってバランスがどうとかと言ったようなことを超えて、画面全体に大きく広がった確かな空間。そこでこのような表現をオールオーバー(全体を包み込むとでも訳しますか)の表現などというようになっています。
 この場合画家は飛び回り撥ね散らかしながら、直感的に絶えず自らの感覚においてよいと感じる方向に飛沫を散らしていったのです。しかしこれも彼の空間感覚がここにいたるまでに十分に洗練されていたから、これだけ深みも新鮮さもある空間造形の上からも遜色の無い空間創造ができたのだと言うことが言えるでしょう。試みに彼の若い頃の人物デッサンなどを見てみると、それほど手際の良いデッサンとはいえませんが、鋭い目と彼独自の造形意思を感じさせるデッサンです。
File0316.jpg

 「これまでにない新たな空間を創造する」と言うことの意味を、いくらかなりともご理解いただけたかなと思います。
 もちろんこれは具象絵画においても可能なことです。表現の要素として、ものの意味やあり方などが関わってきますからなお複雑になりますが、具象絵画においてもこれまでにない新たな空間の創造は、現代美術の一つの追求目標でした。ただ具象は要素が多くなって複雑になるだけ、ともすると表現が見る人にとってあまり意味の無い冗長なものになりがちです。その点余分なものを振り捨てて新たな空間創造にのみ挑戦する、純粋抽象表現の存在が貴重になります。
 さて抽象の初心者にとっては、とりあえずもう一度、空間性を厳しく緊密に作り上げることがリアリティを生み出し、単なる装飾デザインや落書きとは一線を画することになるのだということを、確認しておきましょう。
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テーマ:抽象絵画のすすめ - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2006/11/16(木) 09:22:02|
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