市民のための美術入門3、抽象絵画のすすめ

描いてみたい人のための抽象絵画の考え方や描き方や入り方などについて、できるだけわかりやすい言葉で書いていきたい。姉妹編「1、油絵のすすめ」「2、デッサンのすすめ」とで「絵画とは何か」にも行き着きたい。

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三つの入り口6

2、構成、造形性
 小津安二郎という映画監督がいました。もう大分前に亡くなりましたが、この方は黒澤と並んで日本の代表的な映画監督として世界に知られています。女優の原節子や性格俳優の笠智衆などを主役に淡々とした平凡な人生の一断面を描いて実に味わいのある映画を残しています。代表作には「東京物語」や「秋刀魚の味」が挙げられるでしょう。
 ただし近頃はやりのハリウッドのサスペンスのようなテンポの速い、次々に見せ場を重ねていくようなものを見慣れている人には、実にまだるっこしくてどこが面白いのかわからない映画でもあるようです。せりふも少なくぶっきらぼうで感情表現も少なく、向かい合って話す人の顔を一々正面からとらえて写したりていします。好きな人でもさてどこに惹かれているのかと考えてみると、良くわからない人がいます。それなのに世界的に見ても、この映画を支持する人が特にプロの映画人の中にたくさんいるのです。
 彼の作品の特徴の一つとして極端なローアングルと言うのがあります。カメラの位置を下げて低い所から見上げるようにして撮影するのです。彼の映画の撮影状況の写真を見ますと、カメラマンは床に腰を下ろして更にかがみこんでファインダーを覗いています。そのアングルで撮られた画面には、一昔前のふすまや障子の多い日本住宅の中を舞台とした場面が良く現われるのですが、それを見ていて、これはモンドリアンではないかと気付きました。柱や梁や障子やふすまなどが実にきちんとした垂直線に水平線の組み合わさった構図が出来ているのです。俳優たちはそのがっちり組み立てられた構図の中を動き回ります。そう気がついて見ると、いずれの場面でも、屋外の風景などでも実に簡潔でしっかりした構図の場面ばかりでした。
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 黒澤明の映画でも太いがっちりした垂直線などが構図を引き締めている場合が多いのですし、「灰とダイヤモンド」などで知られるポーランドのA.J.ワイダ監督や「僕の村は戦場だった」や「ノスタルジヤ」などで知られる旧ソ連のタルコフスキー監督や「2001年宇宙のたび」のS.キューブリックなどの芸術性の高い名画では、見返すたびにその画面構成の緻密さに驚かされます。
 ストーリーやスペクタクルで見せる映画の場合は、その気にならないと構図にまで気が回らないものです。しかし映画のよさのとても大きな部分を、画面の構成の緊密さが背負っていることは疑いない事実だと思います。大量消費の典型のようなテレビのドラマやバラエティー番組などには、この点に対する配慮が欠けているものが多くて目を引き付けてもらえないのです。
 あらゆる視覚芸術において、空間の構成がいかに大切であるかを考えていただきたいと言うことでした。

File0314.jpg

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テーマ:抽象絵画のすすめ - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2006/11/09(木) 10:37:49|
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