市民のための美術入門3、抽象絵画のすすめ

描いてみたい人のための抽象絵画の考え方や描き方や入り方などについて、できるだけわかりやすい言葉で書いていきたい。姉妹編「1、油絵のすすめ」「2、デッサンのすすめ」とで「絵画とは何か」にも行き着きたい。

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具象と抽象

 一般的には、一目で何かとわかるようなものの形を描いてないから抽象絵画です。何か具体的な形とわかるものが描いてあれば具象でしょう。
 しかしこの両者の境界はまことに漠然としています。
 例えばクレーの作品群。殆どの作品に人や鳥や魚やピラミッドなどの形が読み取れますが、純粋に抽象的な形体だけで構成されている作品もあります。そしてそのいずれの作品にも共通する感動の源は、音楽的なリズム感と微妙な美しい色彩から来る不思議な詩情を伴った愉悦感です。それは抽象と具象の境界を全く感じさせません。
 また例えば写実の代表のように見えるレンブラントの作品。同時代にも数多の写実画家がいる中でひときわ抜きん出て評価されるのは、彼の作品から受ける感動が、ただうまくきれいにそっくり描いていることから受ける感動とは別の、もっと奥の深い思想的なものまで感じさせるものだからでしょう。
 クレーが「絵画は目に見えないものを見させるもの」と言ったのは、このような目に見える形や色を超えて表現される精神的な感動のことを言っているのです。
 もともと人間の目にとって、全く純粋に抽象的な形態というのは存在し得ないのかもしれません。徹底してそれを追及したモンドリアンの作品においてすら、町並みや建造物などを全く連想せずに見ることは無理ではないでしょうか。垂直線一本にも、一滴の雨や建物の一部や杉の幹等の連想が働きます。また写生は抽象の始まりといわれるように、いかにそっくり描こうとしてもいくらかなりともの単純化や構成化の操作なしに物を描くことはできません。
 私はイメージの自由な展開を望むことから、具体的にすぐわかる形を避けてきました。しかし一本の線を引くに当たっても一つの色を選ぶに当たっても、具体的なイメージから逃れることはできません。雲や木立や波や、流水や人の筋肉の動きや内臓や、風や太陽や星などなどのイメージは遠慮なく画面に導入しています。ですから見る人が勝手にいろいろなイメージを私の画面に見出してもそれは結構なことだと思っています。
 結局絵画に具象や抽象の区別は無く、作者から観者に伝わる何らかの感動の有無が問題なのです。
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  1. 2008/05/27(火) 09:48:54|
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