市民のための美術入門3、抽象絵画のすすめ

描いてみたい人のための抽象絵画の考え方や描き方や入り方などについて、できるだけわかりやすい言葉で書いていきたい。姉妹編「1、油絵のすすめ」「2、デッサンのすすめ」とで「絵画とは何か」にも行き着きたい。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

黒と言う色

 秋のシーズンが始まって、上野と六本木の二つの美術館では公募展が始まっている。私の属している会でも出品作の審査が終わった。気になったのは昨年にも増して黒い作品が多かったように思われること。現今の社会情勢の先の見えなさや、若い人に夢の持てない時代であることなどが黒い色を増やしているのかもしれないが、黒や灰色の無彩色が幅を利かせて色彩の喜びを感じさせる作品が影を潜めてしまっていることはさびしい。
 黒と言う色そのものは色としても美しいし、有彩色以上にニュアンスの美しさを発揮できる色であるには違いないが、これを安易に使うと作品全体がどす黒く鈍くなり汚れた感じを生む。なにしろ黒などの無彩色はどのような色にも調和すると言うありがたい色であるために、これに依存してしまう傾向を生みがちだ。それでついつい画面全体の色に黒を混ぜて広げてしまう。一見まとまりがよくて深みや明快さも出るように見えるから、それでよしとするのである。
 日本の過去の作家たちでもこの呪縛から逃れている方は少なく、国際的な展覧会などで他国の作家と比べれば色彩の単調さや鈍さが歴然とする場合が多い。そこで私は黒を使い慣れてしまっている方々に暫く、数年の間パレットから黒を除去する経験をしてみて欲しいと思う。黒が無くても黒っぽい色は作れるし、黒の代わりに青を使うなど印象派辺りの絵の具の使い方を参考にすれば良いのである。それよりなにより黒を使わなければ多様な色彩の世界が広がるはずで、その中で苦労を積めばこの国の絵画の色彩的な貧困さを脱却した作品が作れるようになるはずである。
 ついでに言えば審査があり、会場に展示される作品が一点だけに絞られると言う公募展では、色彩の調和よりもどぎつさや目立ちたがる傾向が優先してしまい、その点でも色彩的なこの国の画界の貧しさを助成していると感じる。色彩はまず調和であり、感情表現の具としてももっと大切に扱うべきものであろう。画家である以上、多様な色彩をもっと自由に美しく使うべきである。
スポンサーサイト
  1. 2009/09/09(水) 08:17:39|
  2. 色彩
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。